鮮やか土色

アニおと!!見聞録~アニメと音楽の個人ブログ~

アニメと音楽に関する個人ブログです。アニメやAV機器のレビューをします。

土色鮮やか

画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明
画像の説明

劇場版「フリクリ オルタナ」各話解説と感想と考察【ネタバレあり】

 

オルタナを観て以降、OVA版を見直したり、監督のインタビュー観たり、パンフレット眺めたりしているといろいろなことに気づいたりする。

と、いうわけでこの記事ではオルタナを観て私が気づいたことや感想なんかを各話ごとにまとめてみようと思うよ。ガッツリネタバレするつもりなので未視聴の人は注意です。

 

この記事ではわかりやすいように、OVA版とオルタナとの差異について着目してみようと思う。勿論監督やスタッフが違うのでいろいろ異なる点も多いが、いずれについても作品を深く考える上ではわかりやすくまとまるかなと。

 

それでは早速参りましょう。ちなみに私は映画をまだ1回しか観ていないし、残念ながら劇場先行販売のBDも入手出来なかった。が、可能な限り覚えていることを書き連ねることにしよう。

記事中の画像はいずれもPVから拝借しています。

プログレの感想は以下より

azayaka-tuchiiro.hatenablog.com

第1話「フラメモ」

まずは第1話から。フリクリのサブタイトルにはどれも意味が込められていて、しかもそれらはOVA版の場合は監督が思いつきで付けたみたいなタイトルがあったりする。

そういうのを考えた上で「フラメモ」というのは、まあフラッシュメモリーのことなんじゃないかな。電子機器の話で言えば、フラッシュメモリというのは他の記憶媒体に比べて記録速度は早いものの、使い続けるとやがて寿命を迎えてデータが蒸発してしまう。転じて、今をものすごいスピードで生きている彼女たちの高校生活も、永遠には続かない、みたいな意味なのだろうか。

f:id:shinnonno:20180912050609j:plain

秘密基地「ハム館」でのカナの一コマ。ジェンガの興じているシーンだが、カナの持っているジェンガには「never knows best」の文字が。前作1話でマミミが咥えていたタバコに書いてあった文字だね。

f:id:shinnonno:20180912050629j:plain

OVAでのシーン

この文字の意味、「何がベストかなんて誰も知らない」。OVAでは一見してナオ太に対しては軽く振る舞っていたマミ美の、内心での諦めのようなものを表していたことが特徴的だったが、オルタナではそれとは真反対の性格のカナが持っている。

上でフラッシュメモリの話をしたけれど、終わりゆく学生生活を前に何をするべきなのかというのに正解がない、という意味なのだろうか。とはいってもカナの表情を見るに、学生生活が終わり始めているということすら気がついていないようだが。

そんなカナの前に現れたハル子が言ったのがPVでも特徴的だった「セブンティーンはさ、待ってくれないよ」という台詞ね。

公開後なんかはよくインタビューで、OVAのハル子とオルタナのハル子は違っている(違うように作った)というのを聞くけれど、私の感想としてはちゃんとOVAの頃の雰囲気が変わらずあってよかったなあ。というか、他のキャラが普通の高校生なのに対してハル子だけOVAの頃の雰囲気のままだったから逆に浮いてたりしたよね。そのへんは、話を進めていくごとに他のキャラもだんだんハジケて来たように思えるけれど。

まあ、作品としてバチバチに固められているというよりも進めていくうちにキャラが固まってくる感じも、ある意味でフリクリっぽいかなと。

 

f:id:shinnonno:20180912051946j:plain

1話でのビックリドッキリメカはこいつ。 PVで観てうっかりこいつがラスボスかと思ってたけどそんなことはなかったね。

ちなみに大前提の話、ハル子はそこかしこの人間の頭をぶっ叩いてN.O.を開いて、そのNOのチャンネルをメディカルメカニカに繋げてメディカルメカニカに捕まっているアトムスクを引っ張り出すために活動している宇宙警察の捜査官なんですよ。(旧作ではそう)。

因みにN.O.がなにかということについてはオルタナでは親切に1話でちゃんと解説してくれた。右脳と左脳の間からなんか物体を持ってくるという技術?のようなもの。

N.O.はその人間によって出せるものの大きさだったりモノだったりが変わってくるが、カナのN.O.からギターが出てきたって言うことはハル子的に言えば「当たり」というわけだね。前作の感じからして。N.O.の素質がないと今回の神田やOVAアマラオのようにしょぼいもんしか出せない。

オルタナではハル子の明確な目的については語られていないけれど普通で言えばナオ太と別れた後もアトムスクを探しているわけだし、そこで目を付けたのかな。

ただ、OVAではナオ太の頭がメディカルメカニカに繋がったからこそ、カンチが出てきて、手の形をしたメカが出てきて、最終的にアトムスクも呼び出した。

が、カナの頭はどこに繋がっているのだろうか。

OVAラストでアトムスクはメディカルメカニカからナオ太を媒介にして逃げ出しているはずだ。と、いうことは今回の場合宇宙の何処かにいるアトムスクを連れてこようとしているのかな?

オルタナでは(恐らく意図的に)あまりハル子の目的については語られていない。これは、OVAを見た人ならその行動原理を知っているであろうということでもあるし、OVAと別個として考えても作品自体がハル子が主人公ではなく、リアルな高校生を題材にしたSFのように風呂敷を広げたかったからなんだと思う。

 

第1話はカナとハル子の出会いに、オルタナでの重要なアイテムである「ロケット」をさらっと絡めたといった話でした。

ちなみにカナの頭から出てきたのはFenderムスタングの67年型らしい。ムスタングというとアニメファンのあいだではけいおん中野梓が使用していたギターということで有名だけど、実はフリクリにおいてFenderのギターが登場するのってなにげに初めてなんだよね。有名メーカーなのに。

OVAでハル子が持っていたRickenbackerのベース、ナオ太の”バット”Gibson フライングV、アトムスクGibson EB-0 61年型。

で、今回Fender ムスタング。因みにPVで見る限りプログレでは同じくFenderストラトっぽい見た目のギターが出てきてるね。詳しくないからわからないけど。

第2話「トナブリ」

今回のサブタイトルはわかりやすい。「大人ぶり」縮めてトナブリ。

ヒジリーをメインに据えた話で、年上の彼氏と大人な関係を持っているヒジリー流石おっとなー!かと思いきや実は大人ぶっていただけでしたという話。

因みに大人ぶるというのはOVAでは全体のテーマのようなものでもあった。マミ美と河原でクラスの友達に言えないようなことをしつつ、学芸会なんて子供っぽくてやりたがらなかったり、突然現れたハル子に振り回されて街を守ったりした自分に自惚れたり…

ナオ太の場合はそんなことの結果、最終的にハル子からの誘われるも、たっくんはまだ子供だからと置いていかれ、”面白いことなんてなにもない”街で普通に過ごすというエンディングに至ったわけだ。

余談だが一方、ニナモリは3話のラストで普段はコンタクトなのに舞台の上でメガネを掛けていたことから、大人ぶらなくても良いんだ、という結論に達した描写がされている。

 

ただ、オルタナの場合は高校生だ。大人と子供の狭間にあると言っても良い。

 

2話ではメディカルメカニカのアイロン施設の近くに止めていたトシオの車が、施設内の電灯からの怪電波によってトランスフォームしてしまった。勿論メカアクションも観ていて面白かった。しかし怪電波でメカを自らの傘下に改造出来るのか。それはオルタナ初出の情報だなあ。

f:id:shinnonno:20180912055505j:plain

ギターを銃のように扱う描写はOVAでもみられた

今回カナがN.O.で呼んだのはハル子のキッチンカーだ。うーん、これはますますカナのN.O.がどこに繋がってるのかわからんなあ。チャンネルの塩梅がいまいちっつ~か。みたいな感じ?しかし、3話でメディカルメカニカの機械を引き当てたときにハル子が「ハズレ」と言ったことを鑑みるに、どうやら現在はアトムスクはメディカルメカニカの中にはいないということは間違いなさそうだ。

 

2話はヒジリーがトシオを振ってエンド。トシオの「聖ちゃんは大人だと思ったのになー。つまんねー。」みたいな負け惜しみのような台詞も、逆に子供っぽく見えるね。高校生が大人と子供の狭間ではあるけれど、大学生だって似たようなもんだしな。

 

ところで、途中でハル子がトシオとらぶり~んな感じになるけれど、結局最後は隙を見て頭叩いてN.O,使おうと思っていたんだなってことが明らかになっている。

第3話「フリコレ」

「フリコレ」。ファッションの展覧会みたいのものを~コレクションと言ったりするし、そういう意味でのサブタイトルでしょう。

OVAでは各話ごとに各キャラにフォーカスが当てられていたけれど(2話がマミ美、3話がニナモリ、4話がタスク)、同じようにオルタナでもそれぞれメインに取り上げられるキャラが変わっていくようだ。

第3話ではファッションデザイナーを目指すモッさんのはなし。高校生を題材に挙げたときに、テーマとしてはいろいろあると思うけれど羅列してみると"恋愛"、"友情"、"部活"に続いて"将来"が出てくるのは当然とも言える。

 

まず、序盤の公園のシーンで「この公園、こんなに犬居たっけ?」という台詞がある。

OVAでも、ハル子は本部との通信にミュウミュウ(猫)を使用していた。それと同じように犬を通信に使っていたのだろうなと言うことが間接的に表されている台詞だ。

 

この話に関しては、どうもハル子の行動の意図が読めないんだよね。なぜファッションショーに割り込んだのか。なぜ蕎麦屋のマスターが一緒に現れたのか…。

ラップ部で本部への不満を垂れているハル子だが、その内容が今回の行動と関係があるのかもしれない。ないかもしれない。

 

モッさんというキャラクターは良い奴だなと言うのはわかったけれど、あんまりフリクリにもとめているのはキャラクターの掘り下げじゃないんだよなあ。とちょっと思ったり。

とは言いつつも、この話は5話の人間関係について関連する。モッさんとヒジリーがカナとペッツのように昔からの仲だということも明らかになった

で、これまで友情一辺倒だったカナ中心の物語に暗雲が立ち込める。というのはカナが倒れたモッさんに代わってバイトを肩代わりしていたことを責められているシーンだが、そのときにペッツとヒジリーの表情も心なしか「そりゃそうだろ」と言った具合で冷めた雰囲気だった。

私がオルタナで好きなのは、一見すると友情賛歌の物語なのだがその裏ではリアルな人間関係が(だいぶコミカルに描きつつも)展開されていたというところだ。

これについては5話で詳しく話そうと思う。

第4話「ピタパト」

第4話では部活の話。4話にしてやっとハル子の行動にある程度理解が及ぶようになった。ようはカナにまとわりついているのは、カナの感情の変化から生まれる強力なN.O.を利用したいということなのだろう。ということで4話ではわかりやすくカナを挑発している姿が見られた。

実はOVA版でも、3話のナオ太の部屋でハル子がニナモリに挑発(と言っても子供相手の)のような行動をしているシーンが存在したし、そういう行動は案外するっぽいね。

N.O.を利用するために感情を揺さぶるというのはどうやらカナには効果的だったようで4話で強力なN.O.の兆候が現れた。とはいっても兆候だけだったが。

因みに、OVA3話ではカモンの偽物といちゃついた姿をナオ太の前で見せることによってナオ太を動揺させ、最終的にバットという名のフライングVを引っ張り出していた。それと同じ手法ということだろう。

f:id:shinnonno:20180912063346j:plain

体育館のシーンではハル子がベンチに横たわって「スラムダンク」を読んでいるシーンが見られた。色合い的に25巻か27巻だった気がする。一方で佐々木はボンボンでやっていたDANDANだんくを話題に出している。この漫画、マンガ図書館Zで配信してるので気になる方はどうぞ。

それと、この辺だったかな。出前用のベスパのナンバープレートが写ったシーンが有った。これまでもちょいちょい黄色い出前用のベスパは見切れてはいたものの、横側しか写っていなかったのでハル子の乗ってたアレかなあ。違うのかなぁといった感じだったので真偽不明だった。

が、ナンバープレートがキチンと「マバセ 56-56」だったのでOVAと同一のベスパであることがわかった。ちなみにマバセと言うのはOVAでナオ太らが住んでいた街の名前だ。OVAオルタナの時間軸についてもわかっていなかったが、コレではっきりとオルタナOVAの後の話ということが言える。

まあ、OVAで19歳と自称していたハル子が6話では「宇宙人は不老不死」と言っていたこともあるし。

 

小ネタの一方でキャラ同士の関係性については、ハル子と神田の過去について少しだけ語られた。OVAで言うアマラオのような存在だと思っていたが、アマラオよりは若干お互い対等な立場のように思える。因みにアマラオも神田も「入国管理局」の職員だ。アマラオに至っては管理官と呼ばれていたのでだいぶ立場上は上の人物だったようだが、一方で神田の時代では入国管理局自体殆ど機能しないほど人員削減が行われていて、神田も「仕事だから一応」不法入国のハル子を見張っていた。

ま、そんなことはおいといて、1番謎なのが、カナのササキへの想いがなぜ消えてしまったのかということ。

普通に受け取れば恋愛よりももっと大事にしたいことがある。友情とか。みたいな着地点も無くはないですが…これは何度か見たら見えてくるところかもしれない。

第5話「フリステ」

サブタイトルについてはペッツの行動のことだろうか?カナをフって捨てて火星に行く彼女の話だ。

カナはペッツの旧友であったはずなのに家庭の事情なども知らず、といった人間関係については描写されたとおりだ。ただ、ここをどう受け取るかは視聴者それぞれの感性によるだろう。

人によっては、家柄などを気にせずカナと付き合いたいというペッツの純粋な気持ちがそうさせた、と受け取った人もいるはず。カナに憎まれ口を叩いたのも、別れ際にそう言っておくことで別れを辛いものにさせないというような若いからこその間違った自己犠牲みたいな…。

ただ私の場合、やはりペッツとカナの間にはカナが一方的に距離を近づけているだけでペッツからは一定の距離感があったのだと思った。

f:id:shinnonno:20180913030827j:plain

いや、それでもここで手を伸ばしたシーンで言えばペッツは本当にカナを助けようとした行動だとは思う。

事前情報ではわかりやすく友情なんかを全面に押し出していたり、PVでもこのシーンが使われたり、やはりそれに相違なく全体のテーマとしては友情というものが重視されているものの、これほど等身大の女子高生を描こうとしているオルタナ本編を見た上だと、ペッツとカナの関係性こそにリアルを感じざるを得ないというか。

ペッツがカナに「うぜーんだよ」と言ったようなことは実際の人間関係でもよくあることだ。仲良くつるんでいると思っていた友人に本当はどう思われているかなんてわからない。

ここで手を伸ばしたのは、そんなカナのことを本心では嫌っていたわけでない、うぜーとは思いつつも一緒にいる時間が長かったことで結局の所そこに友情が生まれていたというのに気がついたシーンなのではないか、と私は思った。

だからこそ、火星に出発するまでにモッさんとヒジリーからはそれとなく持ち物を交換しあっていたものの、カナに対してはこれまでは交換するつもりがなかったが、最後の最後気絶しているカナとヘアピンを交換した。ということなのでは。

個人的にオルタナがここまで私に刺さった1番の理由が、浜辺でペッツの火星行きがなくなったと気絶しているカナが夢に思うシーンだ。

現実では前述のようにペッツは火星に行ってしまう。どこまでもハッピーエンドを目指した物語ならペッツの火星行きがなくなってめでたしめでたしという友情賛歌で終わりだが、オルタナはそんなカナの愚直さ・滑稽さと、ペッツが離れてゆく現実とのギャップを映し出すシーンとして使われている。私のように(あるいはペッツのように)カナの何も考えずに1直線な性格について疑問を浮かべていたような視聴者であればなおさら好きなシーンなのでは。

 

因みに小ネタだが、5話か6話で神田の入国管理局のシーンで地図上にピンが立っているシーンがあるが、どう考えても実際の世界地図とは違い一つの大きな大陸となっていたので、カナの時代では地球はその様になっているということだ。

第6話「フルフラ」

「フル・フラット」略してフルフラ。OVAでは動くまで至らなかったが、メディカルメカニカのプラントがついに動き出すシーンが視聴者の度肝を抜いた。

6話に関してはもう終盤終始鳥肌立ちっぱなしだった。というか、1~4話まで使ってなかった「LITTLE BUSTERS」と「LAST DINOSAUR」が流れた時点で体中ゾクゾクしまくっていた。ズルいですね。

前半から、OVAのカンチのようなロボがハル子を襲っていた。これは過去作ファンへのファンサービスでもありつつ、本来カンチはメディカルメカニカのロボットであったのでここで現れるのも不自然ではない。マントを被った黒いカンチは、赤いカンチと比較してゲッターロボとブラックゲッターのような感じだったね。

神田は、OVAアマラオと同じような役回りかと思いきやアマラオよりもだいぶ頼れる存在だった。ハル子と肩を並べて共闘するなんてアマラオにはできないだろう。

 

PVであったハル子の「叫べ、17歳!」という台詞がどんな感じで出てくるのか、ストレートな友情モノが苦手な私にとっては、場合によってはオルタナ全体にがっかりしてしまうような終わり方になってしまうかもと若干危惧していたが、やっぱりそのシーン見ると感動した。メディカルメカニカが動き出して、ハル子としても止める手段がカナのN.O.しかなかったということなのだからこその台詞だったのだろう。

 

あと私が興奮したのが、カナのN.O.が開放されたとき。カナの額にはアトムスクのマークが現れ、髪の毛の色もオレンジ色に変化した。

因みにこのとき、神田が「エキゾチック反応」という言葉を使っているのにもびっくりしたね。

トップをねらえ2!というフリクリOVAと同じく鶴巻さんが監督をしているアニメがあるのだけれど、その中に出てくるトップレスという能力者たちは、それぞれ特別な能力を持っていて、その能力のことを「エキゾチックマニューバ」と呼ぶんだよね。

その他にもフリクリに出てきた宇宙警察「フラタニティ」はトップ2!では宇宙怪獣と戦う組織として登場しているし、トップ2!のメインキャラクター・ラルクのトップレス能力は物質転送、つまりフリクリで言うN.O.のようなものだったりする。

まあ、トップ!とフリクリの世界がつながっているかどうかなんてどうでもいいんだけれど、トップ2!でフリクリの世界観がセルフパロディされたように、オルタナではわざとトップ2!を意識した言葉を出したのだと思う。なんせ上村監督はトップ2!からアニメに関わり始めたということなので、ある意味これもセルフパロディだ。

カナのオレンジの髪も、どこかトップ2!のノノを意識させるようなものだったね。フリクリの魅力はこういう遊び心にあると思ってるので、私としてはクライマックスで更に盛り上がった一因だ。

それと、このシーンでカナの額にはOVAのファンなら見覚えのあるマークが浮かび上がっている。OVAではカンチだったりナオ太がアトムスクの力を使っている場面で現れたマークだったので、この時点でカナはアトムスクを呼び出していたということなのだろうか。そうであれば、ハル子がカナにまとわりついていた理由もこの結果を予測したものだとすれば説明出来るだろう。結局ハル子はどこかへ飛ばされてしまったが。

 

ラストシーンに使われた楽曲は「Thank you,my twilight」だった。PVではオルタナではなくプログレで使用されていたので、まさかこっちで使うとは思っていなかった。ただ、めちゃくちゃシーンにあっていた。コレについてはパンフレットで上村監督のインタビューに詳しく載っているのでぜひ買って読んでほしい。

 

さて、「私は友達が大好きだ」と叫んだカナだったが、そこには5話のペッツに言われた言葉との葛藤があった。自分はこれまで疑うこと無く友情を感じていたのに、ペッツは自分に対してそのような感情を抱いていたのか、ということね。

N.O.が発動したのは、その葛藤から答えを見出したからだろう。向こうがどう思っていても「私は友達が大好きだ」と叫べるくらいの気持ちが、N.O.を反応させて、クライマックスのシーンまで繋がった。

 

そうして発動したN.O.はアトムスクもかくやという大きさのもので、ラストシーンではいつもどおりの風景の頭上にまっ平らな球体(星?)が浮かんでいた。

ラストシーンでは、プラントが起動されて平らになったはずの高校に向かうシーンで締められていた。私個人の意見としてはカナのN.O.によって街全体を火星に移動させて、結果地球は平らにされてしまったのかな、と思う。

ただ、ラストでカナ達がいるのが地球であれ火星であれ、平にされてしまったのが地球であれ火星であれ、一つ言えるのが、そこにペッツは居ないということだ。

ペッツが居ないということは、

  1. カナのN.O.で火星に街を移したがペッツ(人工島)はN.Oで火星に移らなかった。
  2. ペッツはすでにロケットで火星に向かっていたが、カナのN.O.でプラントを火星に飛ばし、結果平らにされてしまった。

のどちらかということになるはず。カナのN.O.がどれほど強大なものかは観ている分には詳しくわからなかったけれど、せいぜい街一つを転移させるくらいが限界だろう。プラントだって全てを移転させないと最終的に動き出したらまっ平らになってしまうし。

まあ、街を移転させたのかプラントを移転させたのかは今では判断つかないので、仮に街を移転させたということにして話を進めよう。

 

どちらにしろ、オルタナはハッピーエンドというにはあまりにも抜け落ちたものが多い終わり方になってしまった。カナはペッツまでを救うことは出来ず、これまでどおりの日常をこれまでと少し違った環境で続けていく。

ただ、私はこの終わり方が大好きだ。きっとN.O.で街を移転させて、大きな混乱も会ったのだろう。ハル子はその後どうなったのかわからないし、ごたごたを終えてもこれまでどおりの生活に戻るまでもそれぞれの物語があったのだろう。

ただ、こんなあっさりした終わり方が、OVAでも私の好きなところだったな、とふと思ったり。カナはもう「泣きはらした目には見慣れた景色が何故か目新しくて」なんてことはないだろう。嵐が去って、少しだけ成長した彼女たちの生活がこれからも続いていく。そんな終わり方だったね。

まとめ

と、いうわけでフリクリオルタナ。めちゃくちゃ楽しめた。

OVAと同じところだったり、違うところだったりはあるにしろその一つ一つが作品を構成する要素であった。そして何より、OVAと同じでないからこその面白さがあった。

フリクリオルタナはあくまでフリクリ2ではない。新作であって続編ではない、それ故の新しいフリクリがあった。

パンフレットを購入した方は、巻末の方にあるpillowsの山中さわおさんへのインタビューを読んだことだろう。主題歌「Star Overhead」がどのようなつもりで書かれた歌であったのか。

インタビューでも話されている通り、実際にはオルタナはその意図とは違う作品となったわけだけれど、しかし作品自体にはとてもマッチした曲だった。

私が思うにフリクリは、製作されたものを骨の髄までしゃぶり尽くすことで更に味が出てくるような楽しみ方が出来る作品だと思う。

そういう意味でいうとpillowsの楽曲も、「Star Overhead」も一つのフリクリの物語のような気がして。さわおさんの意図の通り後日談のような物語として楽しむと更に曲が好きになってくる。ただの主題歌ではなく、それ自体がコンテンツとして成立しちゃってるみたいな、pillowsとフリクリの融和を感じられた。

OVAフリクリがあり、オルタナがあり、「Star Overhead」があり…それぞれが新しい物語であり、それぞれがそれぞれの「フリクリ」だったんだな、と。何いってんだこいつという方はパンフレット買って巻頭の鶴巻さんの言葉を読んでほしい。

 ほら、ハル子役の新谷さんも大絶賛ですよ。だからパンフレット買おうね。買え。

 

というわけで更に新しい物語、「フリクリ プログレ」は9/28公開ですよ!こちらもめちゃくちゃ楽しみだ!