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アニおと!!見聞録~アニメと音楽の個人ブログ~

アニメと音楽に関する個人ブログです。アニメやAV機器のレビューをします。

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エウレカセブン ハイレボリューション2 ANEMONE が前作をチャラにする良作だったと言い切れる理由

公開中のエウレカセブン ハイレボリューション ANEMONEを見てきたよ。

最初に言いたいのはめちゃくちゃよかったってこと。めちゃくちゃよかった上で言いたいこともいくつかあるけれども。

 

私はあまりネタバレが好きじゃないので、観に行くまで可能な限り情報を受け付けないようにしていた。知っていた前情報は、今作ではアネモネが主人公ってこと。

 

劇場版シリーズ・ハイレボリューションの致命的な欠点は楽しむためのハードルが高すぎることだ。始まりとなったTVシリーズ50話を見た上で劇場に来ないと最大限楽しむことはできないだろう。

いや、もっと言えば、エウレカセブンで描かれる世界は多重世界線的に存在し(ということも今回の映画や他作品で詳しく語られる)、例えば詩編世界とも呼ばれるTVシリーズの世界と、劇場版「ポケットに虹がいっぱい」では登場キャラクターの設定が違ったりする。

同様にゲーム版や続編のエウレカセブンAO、漫画版小説版と、私はすべてを網羅しているわけではないがいくつもの派生作品が存在し、それらを知っていれば知っているほど面白くなるものだろう。

いわば既存ファン向けの作品であることには間違いない。友人にエウレカセブンを勧めようと思ったら間違ってもハイレボ1や「ポケ虹」は勧めない。

 

エヴァ新劇場版が結果的に新規ファンの取り込みに成功しているが、TV版のストーリーを土台に作り直すという手法はエウレカセブンでも変わらないはずなのにそれに加えてTVシリーズの映像を使用するという、コストダウンでもありつつそれ以上に厳しい制限がのしかかってしまった。

ハイレボ1ではその使いまわしについて、ファンの間では様々な意見が交わされた。「なぜ、すべて新規作画ではないのか?」「なぜ16:9に直すことさえしていないのか?」「それにしてもTV版作画よすぎ神アニメかよ」「エウレカセブンは神アニメ」「AOは云々」

 

とりわけ、私はアスペクト比については本当になぜ直さないのかわからなかった。ガンダムSEED攻殻機動隊など、4:3のアスペクト比で作られたアニメがのちに16:9にリマスターされて発売された例は数多い。アニメ界隈でこのような手法は一般的といってもいいはずだ。

動画の上下が削られてしまうのは確かに勿体ない。特にこんなに作画がいいアニメだと。ただし、あえて4:3にするというよりは、コストのために4:3のままにしているような気がして、究極的に言ってしまえばあんまり熱意がないのかなあ新作に。と思ってしまった。

 

ANEMONEでは、アスペクト比が”意味のある要素”として登場する。伝送システムを使ってアネモネがダイブした世界では、その世界の切り替わりを表すかの如くアスペクト比が変化する。ダイブ後は新規作画ですら4:3で描かれている。これによって前作に感じた違和感、というか新規作画がなくTV版の映像のつなぎ合わせだけでストーリーを再構築しようとした際の微妙な齟齬のようなものが、まったくなくなったわけではないけれども薄れている。

ハイレボ1で語られたレントンのストーリーが4:3の映像だったことを考えると、この”意味”に当てはまったストーリーだったということだ。これについては後述する。

 

あくまで私の意見だけど、とはいってもエウレカセブンの作画を劇場版サイズで見ることができるって結構よくない?とも思うんだよね。

実際見てみればわかるけれど、途中に挟まれたTV版の映像はクオリティとして著しく劣っているものではなく、というかむしろこれが13年前とかの映像なのかよと目を見張るほどの出来だった。

作画の良さを再確認、というかむしろミサイル作画に関してはTV版のほうがぐりぐりサーカスしていて見ごたえがあった。

新規作画のミサイルは重力が加わっている感じの、スピードもありつつ重厚な「兵器~!」って感じでこれはこれで好きなのだけれど。

 

と、まずはアスペクト比に焦点を合わせてみたが、あるいは今回の作品では3Dモデルを用いた作画も行っている。

アネモネエウレカが対話する精神世界のような場所、またはアネモネの過去について語られる場面。

今作では前作に比べて、というか前作であまり批判が多かったからなのか、ほとんどが新規作画といっても過言ではない。前述したアネモネのダイブ云々の場面以外は新メカ新キャラ多数の新規作画だ。

そんな中、コストを浮かせようとした結果が3Dモデルなのだろうか?結果的に3Dモデルを外注するのとアニメーターが描くのとどちらの方がコストがかからないのかはわからないが、コストダウンを演出に昇華させることができれば前作のような批判は生まれないだろう。

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3Dモデルのアネモネ

パンフレットでは、3Dモデルを用いた作画のうち巨大化したガリバーがたくさん出てくるシーンについて語られている。

ガリバーが多数登場する場面なので、アニメーターの間では変なポーズのガリバーを作ったりして遊んでいた、みたいな。超時空要塞マクロスでミサイルをこっそりバドワイザーの瓶にしていたことは有名だが、こういうアニメーター的な遊びっていうのは1アニメファンとしてはちょっと楽しくなってしまうポイントだし、それだけ熱意を感じるポイントでもある。

 

小手先の話はこの程度にして、ストーリーについて考えてみよう。

ネタバレされたくない人はカットバックドロップUターンだ。

なにいってんだこいつ。

 

 

さて、わかりづらい部分も多いが、今回はエウレカセブンと呼ばれる巨大な構造物??と人類が戦っているシーンから始まる。アネモネやミーシャが居るのは現代的な日本だ。エウレカセブンで明確に地名が現れるのもTV版を見た後だと新鮮だし、何か意図を感じ取ってしまう。

詩編世界では地球は地表をスカブコーラルで覆われていて、その下に現在私たちが住んでいるような世界が広がっている。

これはハイレボ1の世界についても同じで、なぜかハイレボ2で突然地上世界が描かれている。

アネモネはその後エウレカセブン内に伝送装置を使ってダイブする。エウレカセブン内に広がっていたのは詩編世界のような、スカブコーラルの地上。というかTV版の映像だからそりゃそうだ。

のちに語られることをまとめると、アネモネが何度もダイブするそれらの世界はエウレカが「レントンが死なない世界」を何度もつくりかえながら探しているうちに生まれたものだ。デューイ曰くごみ処理だとか。

ちなみにこのデューイはおそらくハイレボ1で登場したデューイが何らかの形で世界線を移動し現れたものだろう。

原因についてはシルバーボックスが関係していると思われるが、ハイレボ1ではあくまでスカブコーラルを排除するための決戦弾頭音響兵器、という扱いだけで世界線についてはあまり語られていなかったと思う…。アドロックがシルバーボックスを止めた本当の理由は何だったのだろう。まあ確かにそのままシルバーボックスを使っていたらTV版のデューイと同じように共存できない破壊する、になってたわけだけれど。

 

エウレカが何度もつくりかえた世界の正解がハイレボ1のレントンなのだと思うが、そうだとしたら、これまで見ていた世界がいくつもあるエウレカが作り出した世界のうちの1つであり、ハイレボ2で描かれる世界こそ本物…いや、本物っていうのもおかしいけれど、エウレカが作り出した世界を包括している世界ということになるのだろうか。

ラストシーンでエウレカセブンが崩壊し、終盤でデューイの両足が実体化したこと、そして月光号やゲッコーステイトの面々、そしてデューイから涅槃の案内人と呼ばれた卵の中のニルヴァーシュがこちらの世界に飛ばされてきたことを鑑みると、2つの世界の融合みたいなことが起こったのだろうか?

 

あるいは最後の1シーンだけ登場したレントンは未だスカブコーラルの大地に立っている様子だったが、どちらの世界も存在しているということなのだろうか?ラストシーンは表現が抽象的だったので明確なことがわからない。こればっかりは次作でどうまとめてくれるのか楽しみなところだ。

 

さて、今回の映画はアネモネが主人公だ。ハイレボ1でのレントンは、エウレカセブンのストーリーのうちアドロック、あるいはビームス夫妻とのエピソードが重点的に描かれていた。これらのストーリーは4:3、つまり今作でいうところのエウレカセブン内の世界の物語だったと考えることができる。そして新規作画ではなかったのが、あくまであの世界の出来事は詩編世界の物語である、ということを強調している。とはいっても一番の理由はコスト削減使いまわしなんでしょうが。

これが前作をチャラ、というかハイレボ1のアレを演出として落とし込むことができるよねハイレボ2見た後だと、っていう話ね。

 

エウレカセブンシリーズの全体的なテーマとして大人と子供というのがある。もちろんこの大人と子供には親と子という意味も含まれている。これはポケ虹やAOでも共通していることだ。

レントンにとってのアドロック、あるいはビームス夫妻はTV版でも重要な存在であった。

今作ではアネモネエウレカのコピーとして作られた存在ではなく、父親が存在する普通の女の子だ。父・石井賢との思い出を抱えて前進するアネモネ、泣いちゃうぜ。

 

ハイレボ3で焦点が当たるのは間違いなくエウレカだろう。前述した2人のようにエウレカには親がいない。しいて言えばコーラリアン

そんな中で、どのようにこのテーマと向き合うのかが気になるところだ。

もちろん、無理にたたき台にあげる必要はないかもしれない。でもアネモネにわざわざ父親を与えたんだったら、何かしらの意図はありそうなんだよなあ。

とはいえ、アネモネの言葉でエウレカは世界と向き合うことを決めた。ゲッコーステイトもこっちの世界に来た。土台は十分だ。

ハイレボ3、楽しみにしていよう。

 

 

あっそうだ。

劇場で気づいたんだけどやくしまるえつこの歌が挿入歌になっていたね。私は普通にやくしまるえつこ好きなのでびっくりしました。あと驚きました。同じか。

TV版ではsupercarの曲が挿入歌として使われていたけど、思えば挿入歌にドはまりするようになった、私がアニメと音楽の繋がりに焦点を当てるようになったきっかけはエウレカセブンだったなあと思う。エウレカセブンがなければこのブログは存在しません。404Error。

 

やくしまるえつこは以前supercarのいしわたり淳司さんとも共作したこともあったし、アニおと的繋がりを感じますなあ。

とても好きな曲になりました。