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アニおと!!見聞録~アニメと音楽の個人ブログ~

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インタビューから読み解く真部脩一の相対性理論脱退の理由と集団行動について

 相対性理論とは2006年に活動開始したロックバンドである。

『ポストYouTube時代のポップ・マエストロ』を自称する彼らは、その楽曲どこかシュールな歌詞に耳に残るメロディ、そして軽いギターサウンドが特徴的で、それに加えてVo.やくしまるえつこ倍音成分が多く含まれている(らしい)特殊な声質によって、他バンドとは一風変わった立ち位置を築いたバンドである。

この特殊な声質っていうのが、遠くまでよく届くきれいな声で、成分的には松任谷由実とかがそうだったらしいよ。ってどこかのインタビューで読んだ。

 

やくしまるも需要な要素だけれど、今回話題として挙げたいのは真部脩一だ。

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彼は相対性理論の立ち上げに際してBa.として参加し、数々の名曲を生み出してきたすごい人だ。前述した風変わりな歌詞とギターサウンドは彼の楽曲の持ち味で、前身となったバンド・進行方向別通行区分の頃の音楽性を土台に、その後参加したタルトタタン、集団行動によってもその手腕を発揮させて作曲活動を続けている。

 

真部脩一は、ともに進行方向別通行区分から相対性理論に参加していた西浦謙助と共に、2012年のライブの直前に不参加を表明し、更に脱退に至った。

ザ・SIMフリー: 相対性理論を聴いて下さっている皆様へ、大切なお知らせ(西浦の個人ブログ)

ファンの間ではその理由について様々な議論がなされてきたが、実際どうだったのかは直接的に語られることは無い。

 

その理由について少し考えてみる。

 

 

真部脩一の作詞、作曲センスは相対性理論の初期から遺憾なく発揮された。真部が初めて作曲したという1stアルバム「シフォン主義」のおはようオーパーツから始まり、1st.及び2ndアルバムでは、全曲の作詞作曲に真部脩一がクレジットされている。

 

これについてはメンバーのGt.永井曰くクレジットを適当につけていたとのことで(関連リンク)、実際3rdアルバムでは真部の作詞作曲が5曲、Gt.永野の作詞作曲が4曲となっている。2ndアルバムの全曲が真部作曲であるのか、何が真実なのかは定かではないが、何にしろ真部の音楽性がそのまま相対性理論においての音楽の方向性の土台となっている。

 

相対性理論脱退については以下の動画で、「集団行動の難しさに直面した」、「(水道橋博士の「ビートたけし独立みたいな?」に対して)本当にそれに近いことがあった」と発言している(03:00~)ことから、人間関係の問題による脱退、あるいはビートたけしの例で言えば「全曲真部作詞作曲であるのに、「メンバー全員で作曲している」なんて言われたら溜まったもんじゃねえよ」みたいな権利関係の問題みたいな感じなのかもしれない。まあ、これに関しては邪推だけれども。

 

 

 

このインタビュー動画を見てもらえればわかるが、現在、真部は2017年に新たに立ち上げた「集団行動」においてのメンバーとしてGt.を努めている。進行方向別通行区分の頃からの相棒で、同時に相対性理論を抜けたDr.西浦と、新たにオーディションで加わったVo.斎藤里菜とともに。

 

このVo.斎藤里菜は元々は講談社のアイドルコンテスト「ミス iD」のファイナリストであり、音楽は全くの素人だったとか。集団行動に参加するまではCDを2枚しか持っていなかったのだそう。

 

彼女については、本当に賛否両論がある。真部の新しいプロジェクトということで期待したファンはどうしても相対性理論と、やくしまるえつこと比べてしまう。事実Youtubeのコメント欄なんて見てもらえばわかるがひどいものだ。

 

集団行動 - バックシート・フェアウェル - YouTube89

 

一体何様気取りなんだというコメントが散見しているが、真部が彼女を起用したことには理由があると思う。

真部自身、女性ボーカリストを加入する際にはどうしてもやくしまるえつこと比較されることがわかっていたはずだ。やくしまるの歌は確かに真部の(というか相対性理論の)楽曲のマッチしていたし、最初に言ったとおりボーカリストとしては稀有な声質の持ち主だ。

 

それでも、全くのド素人である斎藤をボーカリストとして迎え入れたのには理由がある。

それについては以下のインタビューが参考になるだろう。

あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.25 真部脩一 - コラム : CINRA.NET

 インタビューを読むと、真部が相対性理論脱退後、活動をともにしていたvampilliaでは、メンバーの殆どが音楽に詳しくない。コードすら理解していないのだという。

その活動の中では、進行方向別通行区分の時点で成り行きでギターとして参加し、相対性理論で初めて作曲してきた「初心者であったはず」の真部が「演奏できる側」として参加するということのギャップに感銘を受けたのだとさ。

 

そりゃあ、10年近く音楽に仕事として携わってきたらそっち側になるのは当然だろうし、多くのミュージシャンにとってはそんなことはむしろ喜ぶだろう。自分が初心者でなくなったのなら。

しかし、真部はそんなvampilliaから”圧倒的なキャッチーさ”を感じ取り、ポップマエストロを自称する相対性理論出身で、それ以降もポップ・ロック=商業としての音楽を追求してきた真部にとってはその再現をしたかったのだろう。

 それについては以下の動画が参考になるだろう。斎藤の加入によって、商業音楽の消費されることに対することの虚しさを表現するのに自分たちはアーティスティック過ぎたと感じたとのことだ。(22:39~)


スタートダッシュに再現性はない。例えると、ロックバンドで1stアルバムが神格化され、バンド自体が1stアルバムの幻想に苦しめられることは少なくないことだ。それもスタートダッシュの再現性のなさだと思う。

vampilliaの(良い意味で)初心者らしさを再現するために、実際に初心者をメンバーとして迎えた新しいバンドの立ち上げに至ったのだろう。

むしろ集団行動の場合は斎藤のボーカリストとしての成長が未知数であり、事実1stアルバムと比べると2ndアルバムでは成長を見せ、真部はTwitter上でこのような発言をしている

 

 

 

ファンの中では、(Vo.斎藤に対して)いきなりメジャーデビューではなくインディーズで様子見すればよかったのにという意見も見られたが、真部にしてみればインディーズで始めてメジャーデビューした時点がゴールではなく、メジャーの中で活動するうちに育っていく斎藤を武器にしたいからなんだと思う。こんな戦い方は、相対性理論で1時代を築いたという自負がなければ出来ない。

これについては以下のvampillia時代のインタビューから引用すれば、

realsound.jp

既存のゲーム内でどう自分の誇大妄想を実現させようか、というワクワクが原動力

 であるとのことだ。音楽業界というゲームの中で、斎藤の潜在能力によってどこまでいけるかという挑戦なのだろう。

 

そういう意味で、真部は相対性理論時代についてを否定する発言をしてきたことは殆どなかった。あくまで、どのような活動をして、何を得たか、何が革新的で相対性理論のフォロワーが大きくなったのか、何がきっかけで分裂したかと言うのをひとつひとつの要素として考えて次の活動につなげているような。

 

あるいは元々は相対性理論時代について思うこともあったのかも知れないが、集団行動の真部としてインタビューを受けたときに相対性理論について語る姿からは、そんなことを感じさせない。

 

集団行動は成長途中だ。

クラウドファンディングサイト、WIZYの言葉を借りれば、「あなたも集団行動に参加しませんか?」。

人々を巻き込み大きくなる集団行動は、まだ始まったばかり。いつか大きな渦を生み、かつての相対性理論のような革命を起こすのかも知れない。