働くということの疲労と7000円という対価
大学生の新野です。大学は春季休暇に入ったのでくっそ暇です。
私は現在金欠で、一般的な春休みの大学生並みに旅行行ったりスノーボード行ったりする傍ら、コソコソと(隠れているわけではないですが)オーディオ趣味も楽しんでいるわけです。
春休みに入ってからと言うもの、これまで使用していたプリメインアンプを突発的に売り払い、色んな所から試聴機を借りて比較してみたり、思いつきで電車を乗り継いでスピーカーケーブルの聴き比べに足を運んだりしてきました。
その割にアルバイトは全然していませんでした。私がちょっと前までお世話になっていたスパゲッティ専門店は、近年の不況の煽りを受け開店してわずか半年で閉店することになりそうで、たまに店に顔を出しても店長は「何食う?」とは言うものの「いつ入れる?」とは聞いてこなくなりました。
とは言え、食べ物屋でのアルバイトというのはそもそも授業の時間とかぶらないから入っていただけで、春休みに入ってしまえば何ら別のバイトを探すことだって可能だったわけです。
でも働かなかった。半月以上惰眠を貪って生活をしていた。
そんなことで暇だからブログの更新も捗るわけなんですが、たまには親に顔を見せてやろうと、気まぐれに実家に帰省することにしました。
実家は好きではないですが帰省は好きです。ラジオを聞きながら流れていく風景は格別に私の心を癒してくれます。散々休んでHPはMAXでしたが、人間関係の悩み(友だちが少ない事)でダメージを負うニート状態の私の心は嘘をつけません。
途中でBluetoothレシーバーのバッテリーが切れたのでiPhone7で音が聞けなくなって非常に退屈でした。iPhone7にはイヤホンジャックがないから、Bluetoothレシーバーがなければイヤホンを使えない。
そんなこんなで最寄り駅に降り立つと、母が迎えに車を出してくれていました。
そして私の顔を見た母の第一声は、「明日から働いてもらうから」
…?私がですか?
こうして私は母の職場でお手伝いをすることになったのです。
とはいえ私にはありがたかった。もともと社長も親戚ではあるのだが、面接も無しでアルバイトが決まるとはなんて楽なんだ。めんどくさがりの私はタウンワークアプリのインストールを押すことさえ億劫であったので、これでニートからの脱却、そしてアンプ購入資金の調達が図れるならちょうどいいじゃないか。
アルバイターの朝は早い。出勤は午前八時半。タイムカードを押す。これまでは店長の、多分数割くらい天引きされていそうな手書き給料明細だったのでタイムカードという文明の利器に脱帽。
朝一番にネットショッピングで注文された商品を倉庫を駆け回って集める。伝票を印刷して発送する。
9時になるとほかのパートさんもやってくるので(私のほうが30分早く始業している)そうすると在庫整理と出荷作業の始まりです。
私の職場はいわゆる配送センターで、本社からの納品書通りに荷物を梱包して発送する仕事です。
私が働き始めたのはちょうど仕事量がピークに達していた時期らしく、というよりもだからこそ私が連れてこられたというわけで。ひたすら商品をダンボールに敷き詰めて、ガムテープで封印して出荷。
夕方3時頃になると順番にパートさんが帰宅していく。パートの皆さんは主婦なので仕方がない。
私と言えば、夕方5時半までが仕事。
8時半から5時半までのフルタイムのパートを、昨日までニートだった男がやり遂げたわけです。自宅に帰ったら爆睡していて目が覚めたら朝になっていました。
これだけ働いて日給7000円です。お金稼ぐって大変だ、と痛感しました。
荷物を梱包しているとだんだんとトリップ状態というか、ゾーンに入ったように勝手に手が動くこともありました。そんなときは決まって、Zonotoneの7700α(1mあたり7000円のスピーカーケーブル)が少しずつ伸びていく想像をしていました。
それをかれこれ4日間続けました。4日目にもなると仕事にも慣れてきて、だんだん帰宅→就寝コンボを決めずに夕食を食べることもできるようになりました。頭の中の7700αも4mになりました。
金曜の夜はウキウキです。リーマンが花金と呼ぶ理由がわかります。
今日は久しぶりにラジオでも聞こうかな。馬鹿力もハライチも今週分は未だ聞いてないし、今晩は楽しいぞ~♪
と思っていたのですが、無い。
Bluetoothレシーバーが無い。
iPhone7にはイヤホンジャックがないから、Bluetoothレシーバーがなければイヤホンを使えない。
使えないのです。
家中探し回っても見つからない、考えられることは一つ。
充電が切れた時に電車のシートに置いてきてしまった。
そんなわけないとお思いのあなた、新野ならありえるんです。
私の頭のなかでは、火を着けられたスピーカーケーブルが導火線のように爆ぜて短くなっていく姿が克明に浮かび上がり、その日の夜は枕を涙で濡らしました。