Nmode X-PW1試聴レビュー ステレオとモノラル両方で聴いてみた
どうも新野です。
ついこの間
azayaka-tuchiiro.hatenablog.com
こんな記事を投稿させていただきましたが、理由としては私自身、パワーアンプを購入しようと企んでいたからに過ぎません。
今回は、ありがたいことに貸出し試聴させていただいた、上の記事でも紹介しているNmodeのX-PW1についてレビューさせていただこうと思います。
比較先は、私が以前所有していたprimare i21。ネットで拝見させていただく限りにはなりますが、オーディオファイルの皆様からの評判も上々、販売開始が2005年で、定価は20万、販売終了時の実売価格は16万円ほどでした。
今回試聴させて頂いたX-PW1は実売8万円、貸出していただいたのは2基なので倍の価格としても16万円。i21とは同価格帯と言えるでしょう。定価としてはむしろランクダウンになるかもしれませんが、単体のパワーアンプということで、プリ部を廃している分増幅部のみにコストを掛けられるのでより力強い駆動が可能と期待しています。
合わせて、NT-505のプリ機能がどの程度のものなのかについても詳細にレビューしていこうと思っています。
それでは試聴に参りましょう
- 視聴環境
- 視聴パターン1.DACの音量を絞りX-PW1を1基ステレオ運用
- 視聴パターン2.X-PW1の音量を絞り1基ステレオ運用
- 視聴パターン3.DACの音量を絞りX-PW1を2基モノラル運用
- 視聴パターン4.X-PW1の音量を絞り2基モノラル運用
- まとめ
視聴環境
QNAP TS-131
↓
HUB
↓
↓
Nmode X-PW1 (1基のみを用いたステレオ駆動or2基によるモノラル運用)
↓
B&W CM8
【比較対象】
QNAP TS-131
↓
HUB
↓
↓
PRIMARE i21(プリメインアンプ)
↓
B&W CM8
いずれもケーブル類は標準的なものを使用しています。
私は、音量を絞った機器が音の傾向を決定づけるという持論を持っています。
あいにく、X-PW1は単体パワーアンプであるのにもかかわらずボリュームが備わっています。
なのでNT-505の音量を絞ってX-PW1のボリュームを全開にする運用と、NT-505の音量をほぼ固定レベル程度にしてX-PW1で音量調節をする運用と2パターン。
また、X-PW1を1基ステレオで使うか、2基モノラルで使うか2パターン。
2*2の4パターンに分けて視聴したいと思います。
基本的にはi21との比較になりますが、これは20万弱くらいの価格帯の一般的なプリメインアンプとの比較というように受け取っていただければ。
また、特筆しない限りは聞き慣れたロック系の楽曲での感想になります。
視聴パターン1.DACの音量を絞りX-PW1を1基ステレオ運用
まずはNT-505の音量を絞って、X-PW1を1基、ステレオ駆動させボリュームを全開にして運用した場合のレビューになります。
基本的にはあまりポジティブな印象は受けませんでした。
i21を売ってからこっちは安物のデジアンで聴いていたので、デジタルアンプの傾向はわかっていたつもりでした。i21はアナログアンプなので単純にアナログ/デジタルの音質の傾向も問題になってくると思ったので。
安物の数千円程度のデジアンは解像度はi21には到底及ばないもののまぁ、無くはないかな、位のものでしたが、出てくる音はカッスカスの音でした。これはデジアン自体の傾向ではなく、単に安物であるからだと思っていたのですが…
X-PW1の場合も音には厚みが感じられず、ドンシャリと言うにはドンが感じられない、シャリばかりが際立つように感じられました。かと言ってモニターライクというよりは単純にシャリ感が強い。
キックはあまり前に出てこず、力感が感じられません。
スネアと、ギターやボーカルが同じ帯域にある曲では(ほとんどそうだよ)それぞれが食い合って団子状態みたいな音になってしまっています。お互いが潰れちゃってる感じです。
GreenDayみたいなシンプルなサウンドなら(音の重なりが少ない分)キレイな、流れるようなノリで聴かせてくれるんですが、日本のロックは音圧が高めなのであまり分解感が足りていないように感じられました。
しかし流れるようなノリ、と言うよりは引っかかりあるくらいのほうがロックには適していると思いますし…
ロックは国内のバンドの方が多く聴いているので、こっちが巧く鳴らないんじゃ…ちょっとね。
ギターの生音に関しても同じ、総じて平面的な音って感じです。
i21が低音までしっかり沈んでくれるアンプだったので、低域の表現力に関しては期待はずれでした。
期待して聴いたもののこんな感想が出てきてしまって正直i21手放したの失敗だったかな…と思ってしまいました。
とはいえ、まだ3パターン残しています。1パターン目は「他のどのパターンよりも音が悪そうなもの」を選んだので、これ以降でどれだけ音が良くなっていくかと言うのが本当の実力になるでしょう。
視聴パターン2.X-PW1の音量を絞り1基ステレオ運用
パターン2ではDACの音量は固定レベルと同じにしてX-PW1の音量を絞って使用してみようと思います。NT-505はアナログボリュームなのでパターン1との差は大いに出ると思います。というかパターン2からがX-PW1の本領発揮というところでしょう。
で、肝心の音に関してですが。
これは…まあ、悪くない。って感じです。
先程の場合では低域が控えめで帯域バランスが悪かったイメージですが、パターン2では低域が多少改善されています。
力強い低域というほどではありませんが、低域がちゃんと出てくれたのでシャリ感が薄くなったのは確かです。
と、言うことは問題があったのはNT-505のプリ部なのか…そうなんだろうな…
帯域バランスが改善されたことによりアンプ自体の音色がやっとわかった気がします。
中域の団子感も多少改善されました。さてはこれもNT-505のせいだったのか。
解像度に関してはパターン1もそうですがなかなかのものでした。とはいえi21よりは多少劣る程度だと思います。価格差を考えれば妥当ですかね。過剰に評価されるほどではないかと思います。
とはいえ、なんとなく音が潰れてしまっている感は拭えない…i21が地味な音色の割に実力派、みたいな感じだったのでX-PW1にはロックが気持ちよく聴けるっていうのを期待していたのですが、キレが良いというよりはちっちゃくまとまっているみたいな感じですね。音場は奥行きがあまり無く、左右の広がりも大きいわけではない、という感じ。
といろいろ書いたところで20万円のアンプと7万円のアンプの比較っていう時点でこの程度の差は出てしまうか…という。
次からは2基使って運用するので、もう価格差による言い訳は通用しないと考えてレビューします。2基使うことでちゃんと分離感が出てくれれば良いんですが。
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これも聴いてみたんですが、やはり空間表現はi21の方が上手でしたね。奥行きまで表現できていたのは素晴らしいと思います。
視聴パターン3.DACの音量を絞りX-PW1を2基モノラル運用
パターン3ではDACの音量を絞り、X-PW12基をそれぞれモノラルにして、左右各チャンネルを担当させようと思います。
思いましたが、めっちゃ簡潔にします。NT-505のプリ部はあまり良くないことがわかったので。あんまりやる意味ないかなと笑
これはNT-505のせいですが音的にはやっぱり低音スッカスカ。でも団子感は減った。
スネアに負けずギターがしっかり聴ける。左右をアンプで分離させると本当に音の分離感も良くなるんだなあ…とモノアンプの意味を目の前にして感嘆。
1基しか使っていなかったのと比べたら雲泥の差です。解像度もそこそこにはなりました。ただ、デジタルアンプだから、というわけでもないですけどアナログアンプであるi21と比べて解像度が同程度になったことくらいはそんなに驚きでもないです。鳴ってもらわなければ困る、位の感じ。
しかし、やっぱりパワーアンプといえどボリュームコントロールくらい出来ないと不便だな。ボリューム付いていないパワーアンプだったらNT-505のカスプリ部じゃ満足できなかったぞ。
これはパターン4で音色がどんな感じになるのか楽しみです。
視聴パターン4.X-PW1の音量を絞り2基モノラル運用
DACの音量は固定レベルに、X-PW1の音量を絞って各チャンネルモノラルで聴いてみます。
これが本命です。
キックはキレが良くベースラインもしっかり聞こえる。低音域はなかなかどころか相当良い。大型スピーカーを鳴らすだけのパワーは備えているというか、CM8にもとめていたのはこの音だった。という感じ。これはあくまで低音域に限った話だけど。
左右で音量バランスを揃えるのが大変なのが玉に瑕だけど、まあ一度決定すればそうも気になるまいということで。
音の評価が難しいので順番に挙げていきます。
帯域バランスはフラットとは言わないけれど、やはり低域がちゃんと出ていることもあってなかなかいい。ハイハットはまあまあ強い。そもそも別にフラットを望んでいるわけではないので、そういう意味で言えばむしろ良い。高域が強い割に煩くないのでドンシャリではないが、傾向は似ている。
あと、1基だけで使っていた時に気になった中音域の団子はパターン3と同じく解消されている。それどころかスネアがしっかり聴こえる。分解感は高い。
味付けは確かにある。音が”濃く”なるって言ったらわかるかな。音の表現って人によってバラバラだから言い方が難しいけど。時々音色を色で表す人いるよね。あれなんなんだすごいとは思うけど。色で表す人同士が集まって同じ機器を聞いたらみんながみんな同じ色を答えるのかな?…まあ、余談はここまでにします。
アコギの生音はi21とは違うベクトルだけどうっとりさせる感じ。比べればi21はアナログ感が結構あったけど、X-PW1は濃い味付けがされるのでデジタル的な正確さはあれど音数の少ないアコギのインストもいつもと違った雰囲気に聴こえる。
ただし、バラード調のロックはうっとりというよりはやはりパンチの強い印象を受けてしまうので、このうっとりはあくまで「音数の少ないインスト」限定と思ってもらっていい。
なんでも力強く鳴らしてくれるのを利点と取るか欠点と取るかで評価が別れると思う。例えばオルガンなどもしっかりアタック感が感じられる。思うに売りにしているスピード感っていうのはこの力強さから来るキレの良さのことを言っていると思う。私は好きな音だが、フラットを求める人やオーケストラを聴くにはうっとおしいだろうと思う。NT-505でなくsonicaDACだったらアタック強すぎてもっと評価別れるだろうなあ。
欠点はある。音楽的な表現はi21に軍配が上がる。音場の表現などはX-PW1からはあまり上手いという印象は受けない。それに加えて、音の厚みなども少ない。デジタルかアナログかなど関係なくいい音、とよく評されていたけれどこれは間違いなくデジタルアンプの特徴だ。
それと、解像度は結局i21と同程度か、あるいはそれ以下という感じで頭打ちだ。デジタルアンプ的な”解像度高そう感”のある音は出ているが、実際音には滲みがある。
けれどX-PW1は個性が魅力的。音だけで言えばX-PW1の音はロック、とくに打ち込みの入ったダンスロックやパワーの有るファンク調のロックと相性がいいので私好み。ただし、音場とかは上流によって調整する要素でもあるし、ケーブルとかで多少は調整する事もできると思うのでパワーとのトレードオフかな。
それと驚いたのが、SpotifyConnect。これはストリーミングでMP3の320kbpsだけど、なかなかいい音で聞かせてくれる。持ち前の"解像度高そう感"のお陰で、悪いソースもそれなりに聴かせてくれる。
うーむ。
ネットで見る限り、Nmodeのアンプは奥行きの表現が上手い、とかフラットな傾向、とかきいていたんだけど全然そんなこと無いっていうのが、単に私の耳のせいなのかどうか…
まあ下位モデルのX-PW1だから、ということもあると思うけれど結論としてはパワーの有るパワーアンプという感じ。
まとめ
単体でもモノでも価格なり。ただし個性的な音。
って感じでしょうか。コスパとか考えずとも、好きな方は絶対的に好きな音です。パワーが感じられるサウンド。ただし音場の表現性は良くない。
要所要所で優秀ですが、その分欠点もあるみたいなアンプです。
1基だけで聞いたときはヒヤッとしたけど、モノラルのBTLなら確かに他にない音。オーケストラとかジャズとか、空気感が大事な曲には合わないけどそれ以外ならなんでもNmode色に染めてしまう。そんな強引な俺様系パワーアンプです。
これ、AVアンプのプリと合わせてパワーアンプとして使えば結構良いかもしれないですね。私は純粋な2chのスピーカーリスニング用途で購入予定だったので音場が気になってしまいました。本来ならX-PM7やX-PM100を購入するべきなのでしょうか。
…買っちゃう?
いやいや、こないだNT-505を買ったばかりではないですか。
いやでも…
と、まあこんな感じでしばらく悩もうと思います。
明日XLRケーブルが届くので、今回はRCAケーブルでの視聴でしたがXLRケーブルを用いた場合も近日ブログにあげようと思います。
それでは