音質向上のためパワーアンプを使う3つの利点と欠点
パワーアンプって実際どれだけ意味あるのか?という話。
オーディオの話です。
これまでさんざんDACを変えてきた…と言うより、2017年から現在にかけて
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MARANTZ HD-DAC1
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OPPO sonicaDAC
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TEAC NT-505
って4機種ハシゴしてるって相当やばくない?私。
DACは良いんです。時代に合わせて技術がどんどん進化していきますから。まあNT-505で機能的には全く必要十分なのでもう買い換えることはないでしょう。
で、DACと来たら次はアンプではなかろうか。
私のプリメインアンプはprimare i21という10年前くらいに発売された機種です。これがまた評判のよろしいことで、primareというメーカーがいかに信頼されているかと言うのがネット上の意見から余りあるほど伝わってきたので、こちらも2017年の夏くらいに購入したものです。
実際音的には不満もなく…と、言うよりはアンプ自体きちんとしたものを買ったのは初めてでしたのでよくわかりません。きちんとしてないものは買ってましたけど。
しかしここ最近、TEAC NT-505の地力の強さみたいなものを身にしみて感じている私は一つの暴挙に出ました。
「プリメインアンプを捨てNT-505のプリアンプを使う」
DACにしてはせっかくの優秀なプリ機能です。sonicaDACと比べたら音の表現力は段違い。そうであれば、アンプにあてる資金源を持てるだけパワーアンプのみに突っ込んだほうが音質向上の近道なのでは…と考えました。
しかしパワーアンプっていうのは果たしてどういう役割を持っているのか。どんなメリットがあるのか。プリメインアンプとの違いは。自分なりの視点整理をしたいと思い今回の記事です。
あくまでオーディオ初心者である私による意見ですのであしからず。
パワーアンプとプリアンプを分ける意味
プリメインアンプというのは”音量調節用のプリアンプ”+”出力増幅用のメイン(パワー)アンプ”というものを組み合わせたものになりますよね。
Amplifier(増幅器)という言葉尻を取るとプリアンプというのが正しいのかどうか…いやMainAmplifierの前段(pre)だからいいのか?
プリメインアンプとなるとその音量調節機能にもコストを払わないといけなくなるのでその分アンプ自体の能力というのはコストに対して、単体のパワーアンプと比べて劣るということです。プリアンプとパワーアンプを分けたシステムのことをセパレートアンプとも言います。
プリメインアンプにはセパレートアンプに比べて有利な点もあります。それは結線にあらわれています。セパレートアンプではプリアンプとパワーアンプをそれぞれケーブルで接続することが必要です。
プリメインアンプであれば筐体内部でプリアンプとパワーアンプがつながっているので、その点でロスが少ないといえます。
逆にプリメインアンプの弱点というのは、まさしくプリメインアンプがプリアンプとパワーアンプを同じ筐体であるという点にあります。
それは電源です。一つの電源からプリアンプとパワーアンプ2つ分の電力を供給する必要があるんですね。
さらに言えば、パワーアンプであればモノラルで駆動することも出来ます。スピーカーの左右のチャンネルを2台のパワーアンプでそれぞれ駆動させるBTLというシステムであればさらにそれぞれに電源を用いることが出来ます。
電源が大きいということは、細部までしっかり電流が行き渡るということ。オーディオ的には大きな意味がありますね。
音色を好みに調整できる
調節できる、と言ってもこれはパワーアンプによるものではありません。どちらかと言えばセパレートアンプにしたことによってプリアンプを用いる事による利点です。
先程書いたようにパワーアンプの役割というのは音量の増幅というもの。あくまで個人的な考えですが、プリアンプは音色を整える効果があります。経験則ですが、ボリューム管理が音の傾向を決めているような、ボリュームを絞る事によってその機器の色が出るように思います。
増幅をパワーアンプに任せて、プリアンプで音の傾向を決定できるようになるのですね。
自分好みの音色を様々な機種のなかから決定することができるようになるというのも大きな利点ですがそれだけではなく加えてケーブルによる調節も可能になります。
これは先程述べたように、プリメインアンプとセパレートアンプが電源とケーブルのトレードオフになっていることによるものですね。セパレートアンプにすることによって結線が増えてしまうという欠点を逆手に取れば、ケーブルを使うことによって出来るようになることもあります。
私の場合はNT-505の音色が気に入っているのでこれを使おうと思いました。
スピーカーの制動力を稼ぐ事ができる
パワーアンプを分けることによってスピーカーの制動力が稼げます。有り体に言えば止めたいところでキチッと止めて、動かすところでシャキッと止める、みたいな。
よほどの上級機でもなければ電源もそうですが、やはりコストバランス的にはそれぞれが分離されているほうが有利なんですね。
とはいえ、普通であればそんなにスピーカーの制動力とか、アンプのパワーとかは気にならないはずです。そもそも、アンプっていうのは製造された時点でバランスを考慮されているから。
ただ、この世には並大抵のアンプでは鳴らせないスピーカーっていうのも一定数存在するらしいのです。DynaudioとかB&Wとかっていうメーカーの。
幸いにもというか不幸にも、私の現在使っているスピーカーはB&WのCM8。使用して思うに確かに鳴らせきれていないような気もします。鳴らせているような気もします。よくわかりません。だってこのスピーカー以外知らないんだもの。
でも確かに低音の量感不足は否めないのです。もともとのスピーカーの性能もあると思いますが。これが改善できるとすれば…
ともかく私の場合はパワーアンプの追加によって音質向上が見込める可能性がある…。
制動力という点に関しては、さらに言えば2台のパワーアンプによるBTLによって更に向上を考えることも可能です。片チャンネルずつ使えばそれだけ制動力も大きくなります。
パワーアンプを使用することに対する欠点
パワーアンプを使用することによって結線が多くなるのは確かに欠点でもあります。が、それ以上に欠点と言えるものがあります。それはモノラルでパワーアンプを駆動した時に現れるもので、ダンピングファクターが倍になってしまうという点ですね。
上記のページに詳しく書いてありますが、ステレオ(両CH)のアンプと比べて、モノラル(片CH)のアンプの場合はアンプにそれぞれ設定されているダンピングファクターという値が、適用されるので、合計で倍になってしまいます
ダンピングファクターが大きくなるとアンプからスピーカーに送った電流がアンプに対して逆起電圧を起こすことでスピーカーが無駄に鳴ってしまうという欠点があります。
このへんはマランツのHDAM-SA2とかってシステムでも触れられている点ですね
モノラル2基でパワーアンプを使用する際にはこれが一番の欠点になるので注意する必要があります。
おすすめのパワーアンプ
で、パワーアンプを選ぶ際にはどのようなものが良いのか。私も初心者である上試聴もしたことがありませんが、ネット上の知識を集約させてここに記しておきます。
ROTEL RB-1582mk2(実売18万円)
ROTELというメーカーはとにかくコスパが恐ろしく良いことで有名です。親会社はピアノやっている人やDTMやってる人ならおなじみのRoland。つまり日本のメーカーです。日本のメーカーなのに日本ではあまり売られていない、しかし海外ではやたら高評価という代物です。
ずっしり質量のあるモデルで見た目だけでもいい音が鳴りそうなパワフルな仕様。日本のオーディオ全盛期みたいな風貌ですね。音の傾向としてはひたすら地力が強く、受け取った音をそのまま強くするもので、解像度や音場の表現も十二分であるとか。
olasonic NANO-A1(実売5万円)
Nmode pw-1(実売7万5千円)
NmodeはかつてSHARPのオーディオ機器を開発していた方が独立して作られたメーカーです。SHARPは当時独自の1bitアンプというものを販売していましたが、オーディオ機器からの撤退によって言い様によってはロストテクノロジーになっていました。Nmodeはその1bitアンプを引き継いだメーカーで、上記の機器と違ってアナログではなくデジタルによる増幅であるのでその分透明感のある音になっているとか。
NuPrime STA-9
NuPrimeは大手のメーカーではありませんがデジタル系のオーディオ機器では一定数の支持を受けている実力派メーカーです。かつてはNuforceというブランドで、そこからNuPrimeが高級機用として分離したらしい?です。
音の傾向はやはりデジタルであるのでスピード感があるという。X-PW1と聴き比べてみたいです…
ざっと挙げてみましたがどれも大手メーカーではありません。私自身が大手メーカーよりもこういうメーカーの音のほうが好きっていうのもありますが、大手が狙っている客層が(主にマランツとか)おじいちゃん向けみたいなイメージがついているんですよねー。
私が聴くのは打ち込みも入ったロックが多いのでオーケストラ向けに作られたアンプよりも若いメーカー(作っている人はベテランだけど)のほうが信頼できるんですよね…
というわけでパワーアンプについての知識を初心者なりにまとめてみました。近年のDACにはほとんどボリュームがついているので、場合によってはこのようなパワーアンプの需要も高まっていくのではないでしょうか。
私的には需要高いです。もっと市場大きくなれー!
それでは。