Zonotoneスピーカーケーブル一挙比較レビュー!Gransterシリーズ&Blue Spirit
先日、県内で行われた『Zonotone試聴会イベント』に参加してきました。
会場となったオーディオ専門店へは電車で乗り継いで行ったのですが、人も多かったわけではなかったのでじっくり聴き比べること出来ました。
今回の記事ではその時試聴させていただいたスピーカーケーブルの感想を書こうと思います。私自身スピーカーケーブルのグレードアップを目論んでおり、実際の現場で聞いた印象を忘れないうちにアーカイブしておこうかなと。
視聴環境は
CDプレイヤー:Marantz(型番不明、おそらくSA8005)
↓
アンプ:Marantz(型番不明、おそらくPM8005)
↓
スピーカー:B&W 803D3
でした。
ちなみにプレイヤーとアンプ間のインターコネクトケーブルはZonotoneの7NAC Shupreme 1でした。各機器とも同じくZonotoneの電源ケーブルが使用されています。
今回はスピーカーケーブルの比較レビューなので、PM8005と803D3の間のケーブルを切り替えての視聴になります。
- 6NSP-1500 Meister
- 6NSP-Granster 2200α
- 6NSP-Granster 5500α (シングルワイヤ)
- 6NSP-Granster 5500α (バイワイヤ)
- 6NSP-Granster 7700α(シングルワイヤ)
- Blue Spirit-777SP
- 7NSP-Neo Grandio 07Hi
- まとめ
6NSP-1500 Meister
(1mあたり切り売り1000円)
Zonotoneのスピーカーケーブルの中ではローエンドのラインナップの製品になります。
Meisterという名前は現行製品のGransterの前にラインナップされていたシリーズの名残ですね。
試聴会ではまず1500Meisterから、徐々にランクを上げていく事になりました。
今回の視聴に使われたスピーカーは803D3ということで、私が現在使っているスピーカーと同じB&Wというブランドではあるものの、ランク的には大きく違います。803D3は現在のB&Wではトップエンドのシリーズですからね。
ということで実際800シリーズはどんな音がするんかいな、と思ってわくわくしながら聞いたのですが、「あれ?こんなもんなの?」というのが最初の感想でした。
音はCM8に比べたらあるものの解像感もリアリティも薄いし、レンジも狭いです。正直、この程度?と思ってしまいました。
というのも、のちのちスピーカーケーブルを次々変えていくとこれらの点は解消されていきました。
ということはこれらの不満点がそのまま1500Meisterの感想ということになりますね。
1m1000円ということで上位ケーブルと比べた価格的な性能差はあると思いますが…
高いスピーカーはスピーカーケーブルも選ぶということですね。勉強になりました。
本番はこれからになります。
6NSP-Granster 2200α
1mあたり切り売り1700円
次に視聴したのがZonotoneの主力価格帯の中では一番安価なGranster 2200αです。
1500を聞いてしまって「???」状態でしたが、このスピーカーケーブルの音を聞いて印象が変わりました。
一聴してすぐ、「空気感がぜんぜん違う。」
1500Meisterでは全然出ていなかった解像感が一気に高まって、803D3が本来の実力を出している事がわかります。
音は1500Meisterでは固くなっていたものが解きほぐされて柔らかく感じました。柔らかいと言っても鋭さがない音ではなく、自然に広がる感じですね。
音の傾向としてもレンジが広がった感があり、多少重心が低くなったような印象を受けました。
これらの変化により聞いている曲は変わらないのに一気に音楽性が高まりました。
1500Meiserが一般的なスピーカーケーブル程度の性能だとすると、2200αではそれらとは段違いの音を聞かせてくれます。
Gransterシリーズでは芯線に使われている素材は6NCu、HiFC、PCUHD、OFCの4種類で、これらの配合のバランスを考えながら調整しているとのことです。
店舗ではZonotoneの営業の方がケーブルのセッティングをしていたのですが、話を聞いてみると「安すぎます。正直言ってもっと高く価格設定しても良かったかなと思います」と言っていました。
一般的なオーディオケーブルからメーター1700円でここまで変わるとなるとたしかにこの言葉は間違いではないかもしれません。ただ、駆動させているのが大型スピーカーであるためでしょうか、パワー感みたいなものはまだ少なく感じました。
といっても上位のケーブルになるほど芯線が太くなっていくため、この点は上位のケーブルで解消されるであろうことが予想できました。
6NSP-Granster 5500α (シングルワイヤ)
1mあたり切り売り4,000円
次はGransterシリーズの次男、5500αを聞いてみることになりました。5500αは4芯構造になっているためバイワイヤで接続することも可能でしたが、まずはシングルワイヤで聞いてみることになりました。
ちなみにですが、芯線に使われている素材は6NCu、HiFC、PCUHD、OFCということで2200αと変わらないものの、線材の配合は変わっており、ただ単純に2200αを4本にしたというわけではなさそうです。
音の感想としては、2200αと音の傾向は同じですがより密度の高い音になったな、という感じです。
これに関しては2200αの時に感じたパワー不足を補ったという感じで、当初の予想と同じでした。
6NSP-Granster 5500α (バイワイヤ)
続けて、5500αのバイワイヤリングを試しました。
私個人としては5500以降のモデルを購入した際にはバイワイヤリングにするつもりでしたので、シングルワイヤよりもこちらの音のほうが気になりました。
音はバイワイヤリングにしたことで高音部と低音部それぞれ駆動力が増したためか、分離感が大きくなった感じがしました。ここで言う分離感は高音域と低音域のことで、レンジが広がった印象です。これに関してはバイワイヤリングにした際の一般的な変化と同じですね。
特に、低音域はしっかり沈むようになりました。
こうなってくるとシングルワイヤで聞いていた音が分離感が少なく、団子とまでは行かないものの特に高音が足りていないように聞こえました。
ただ、取りようによってはモニターライクに聞こえます。これはあくまで個人的な意見ですが。いろんな音がしっかり聞こえる分精密さは見えるものの聴いていてちょっと疲れるんじゃないかなと。
購入さえしてしまえばシングルでもバイワイヤでも自由にできるので、そのへんは良い塩梅を探せるかもしれません。
6NSP-Granster 7700α(シングルワイヤ)
1mあたり切り売り7000円
今回、7700αはシングルワイヤのものしか試せませんでした。というのもどうやらZonotoneのデモケーブルには7700αはシングルワイヤしか無く、そもそもバイワイヤリング仕様の完成品も特注でしか生産していないとのことです。
これまでのケーブルとは段違いな、ゴムホースみたいなケーブルです。
音の印象としては5500αを更に密度を濃くした感じですね。パッと聴いた感じでも高級な音、という感じがしました。
密度は多くなったものの個人的には5500αのバイアンプのほうが良い印象を受けました。というのは試聴した7700αがシングルワイヤであるためであって、おそらく7700αをバイワイヤで接続したらそのような感想はなくなるものと思います。
5500αのバイワイヤも高域と低域のそれぞれの分離感は広がりましたがそれでもパワー感みたいなものが足りていませんでした。7700αならそれを補えることでしょう。線材の太さも全然違いますし。
感想はそっけないですが、7700α買ったらスピーカーケーブルはアガリかなーと思わせてくれるケーブルでありました。
Gransterシリーズはやはりモデルが上がる毎に順当にランクアップしている感じがありました。5500α好きな人は7700αはもっと好きだろう、と言えるレベルのものであります。
Blue Spirit-777SP
1mあたり切り売り7400円
試聴会はここで一旦小休憩に入ったのですが、私は気になったことがあったので営業の方に聞きました。Blue Spiritとは何なのか。
というのもこれまでネット上で情報収集していたのですがなかなか情報が見当たらなかったケーブルなんですよね。ジャズ向け、というくらいしか。
営業の方曰く「創業者(前園さん)がジャズ好きだった」「オールドジャズを鳴らすために作られた」ケーブルだそうです。
まずは私のリクエストでリンキン・パークを掛けてもらいました。
すると…うぉぉ!なんじゃこりゃ!!すごいパワー感だ!
音が押し寄せてくる感じがします。びっくりした~。
ジャズ向けと言うだけあって、音が濃いこと濃いこと。店員さんや営業さんも笑ってました。これはすごいケーブルだー…と。
音は低音域も高音域もぶりぶり押し出してなってくる感じで、聴いていてここまで楽しいケーブルが有るものなのかという感じです。なによりプレイヤーもアンプもあっさり美音系のMarantzであるにも関わらずここまでの音が出るものか…!
私は普段ジャズを全然聞きません。幸いにして良いスピーカーが目の前にあるので、続いてはジャズを腰を据えて聴いてみようじゃないか、となりました。
やはり合います。ベースのなり方、ブラスのリアリティ感、何をとってもパワーが有る。これがジャズ向けのケーブル…!
音の輪郭はタイトというよりは押し出し感が強く、音数の多い場面では一気に迫力が増します。
ただ、欠点も多いケーブルです。というのも高音域にはハリがなく、低音も丸まってしまってあまり前まで出てきません。このへんでオールドジャズ向け、という意味がわかりました。ロックではハイハットの金属感みたいなものも7700αと比べて薄まり、ベースラインも丸まってオーケストラなども響きが足りないように感じてしまいます。
Blue Spiritを聴いてしまうとGransterシリーズが対比されてすごく精密な音、という印象になってしまいます。ただ、精密性はないですがBlie Spiritは聴いていて本当に楽しい音です。
音は素晴らしいのですが、やはりレンジが狭いとちょっと魅力にかけてしまうな…と、言うことで少し実験させてもらいました。
Blue Spiritをバイワイヤリングの下にして、上側のケーブルをいろいろ取り替えて聞き変えてみることにしたのです。
Blue Spirit✕Granster 2200α
まずはBlueSpiritにGranster 2200αを組み合わせてみることにしました。2200αは音の密度ほど少なかったものの音楽性としてはとても好感が持てましたし、コストバランスを考えても、ちょうどいいかなと。細い線なので高音域がきれいになるなら良しだな、と思って聞きました。
聴いてみた感想としては、思惑通り高音がきれいに出るようになりました。しかし、高音と低音で密度が違いすぎる!水と油が分離するようにBlueSpiritのこってりした低音に2200αがマッチしていない!音が細すぎる!という感じです。
2200αでは太刀打ちできませんでした。
Blue Spirit✕Granster 5500α
今度は一つグレードを上げて5500αで聞いてみました。2200αに比べたらBlue Spiritとは自然につながっているように感じます。
5500αはシングルワイヤで上に繋げているので、密度感も申し分なかったです。高音域に関してはしっかり精密に鳴っていました。
ただ、バイワイヤにしたことでBlue Spiritの持ち味である味の濃さは本当に半分くらい薄れてしまいました。高域のレンジの広さと比べると下だけを繋げているにも関わらずやはり低域のレンジの狭さが感じられます。キックの音が丸まってごく低域まで届いていない感じがします。
やはり、Blue Spiritはシングルで使ってジャズ向けだなと言う感じです。これ以外の音楽はやはり合わないかもしれません。レンジの狭さと言ってもむしろ、例えば低域ならコントラバスに合わせた調整であるといえるかもしれません。
めっちゃ濃い音で好きなんですけどねー。レンジさえもっと広ければロックにも合うだろうなあ。
ジャズ専門で聴く方なら、これ買ってアガリと言えるくらいのケーブルだと思います。
7NSP-Neo Grandio 07Hi
1mあたり切り売り9000円
散々Blue Spiritを堪能した後、もう1ランク上のケーブルを試聴させてもらいました。NEO Grandioシリーズの07Hiです。
Gransterよりも上のランクなので正直手が届くわけないと思ってたのですが切り売り9000円なんですね。意外と手が届きそう…
シングルワイヤでしたが、非常に締りのある音で情報量がBrue Spiritと比べてぐっと多くなりました。Blue Spiritと比べると流石に密度感は減るものの、”ケーブルの味”の・ようなものはしっかり付いており、これと比べると7700αは精密感だけだったんだなあ、となってしまいます。
これの後に7700αを聞き直したのですが、随分とテイストがあっさりというか、音はきれいで解像感も申し分ないのですがキャラクター的にはつまらないな、と思ってしまいました。
ただ個人的な音の趣味としてバイワイヤリングの分離感が好きなので、2芯のケーブルではなあ、という感じになっています。音はとても良かったです。
まとめ
いかがだったでしょうか。私はZonotoneのケーブルに惚れてしまいました。
勿論ケーブルは素晴らしいものです。それぞれがしっかり個性を出し、価格帯が上がれば順当にいい音に鳴っていくという信頼感もあります。
なにより、Blue Spiritのようなこだわりのあるケーブルを作れる会社なんてそうは居ないでしょう。ケーブルを買い換える際はZonotone製にすると思います。
皆様にも良きオーディオライフを。
それでは。