STAXのイヤースピーカーの思い出 SRM-313とSR-307
かつてSTAXのイヤースピーカーを所持していた時期があった。
SRM-313とSR-307の組み合わせで使用していた。STAXのラインナップの中では下から2番め位に安価なシステム構成だけれど、音に関しては大したものだった。
流れ出るのは、迫力とかそういう問題ではなくただ単純に純度の高い音。目を瞠るような解像度の高さは特筆すべき要素である。
上の画像で左においてあるのがSRM-313。ドライバーユニットと呼ばれるSTAXのイヤースピーカーを駆動させるために必要な機械である。イヤースピーカーは他のヘッドホンのようなステレオプラグではなく独自のバイアス端子というもので接続する必要があるため、普通のヘッドホンアンプなんて使うことができなかった。
中古で購入したがセットで5万弱だったと思う。そういえば買ったのは去年の今頃だったかな。その後CM8を買った際に資金繰りのために売り払ってしまった。
背面の端子はこんな感じ。RCA端子で繋げる。スルーアウトの端子もついてる。
思えばイヤースピーカーって、オーディオ的な立ち位置としては本当にヘッドホンとスピーカーの真ん中くらいにあるな、と。
単体ヘッドホンアンプなんて買ったことがないので実際どんなものなのかは全くわからないがこのドライバーユニットなんてもろ役割としてはパワーアンプみたいなものだ。
正直、高級なヘッドホンを買おうとしていて、でも密閉型みたいな密度の高い感じがすきになれない人であればゼンハイザーの開放型とか買うのもいいけどSTAXさえ買っておけばそれで”アガリ”になると思う。
他のヘッドホンとは全く違う。音もそうだし、所有欲も満たされる。なによりこのへんてこなシステムを、俺は使いこなしてやるという感じでロマンもある。
STAXは海外資本になってしまったが、作っているのは未だに小さな町の町工場。手作業も多い。そんな職人技に心打たれたというのもある。
とにかく使っていて、なんとも特別なヘッドホンだった。
これ以前もこれ以降もヘッドホンはいくつか買っているが、コダワリというよりは必要だから買った、みたいな感じだ。SR-307の頃のような愛着はなくなってしまった。
いつかSTAXの最高級イヤースピーカーSR-009を買いたい、というのは純粋な希望だ。まさしく1年前であれば20万円のヘッドホンなど一体どこにそんな価値があるのかと思っていた。ヘッドホンに5万かける時点で5だろうが20だろうが変わらんのに。
間違いなく私をオーディオ沼に引き釣りこんだ直接的な原因である。
ところでSR-307の思い出を思い出そうとしているが、頭に浮かんでくるのは装着感悪かったなあという感想くらいだ。
使い勝手も他のヘッドホンと比べて圧倒的だった。圧倒的使いづらさ。伸び縮みするヘッドバンドのアジャスト部に幾度となく髪の毛を巻き込まれた。
本音を言えば売ってしまった理由は資金繰りのためだけじゃなく、頭皮の毛根の悲鳴を聞いてしまったからというのもある。自分可愛さに相棒を売る。そういう男なのだ私は。憎むならそのへんてこな伸縮部を憎むんだな。