”録音の質が悪いハイレゾ”は買うべきか、買わざるべきか
ハイレゾなんてただの規格。というお話。
SONYが運営する音楽配信サイト、「mora」から、上記のようなキャンペーンが開始された。"フライングドッグ"。所属アーティストを見れば一発でわかるけど主にアニメとか声優の人がよく使う、ビクターの子会社的なレーベル。
で、このフライングドッグ祭りっていうのはフライングドッグから新しく出るアルバムや、改めてハイレゾとして配信が開始されるアルバムを購入するとハイレゾ対応ウォークマンがもらえるという代物。この、「ハイレゾ対応」という文言、普段なら「ハイハイいつものハイレゾシールがついてる代わりにちょっとお高めになってるのね^^; じゃあ違う機器買わせていただきまーす^^;」となっているところだけど今回ばかりは違う。
と、いうのも私は未だポータブル環境は「iPod classic + ポタアン」という10年前とか言うレベルの化石を使っている。幸いにも使用頻度も減ってきたのはやっぱりiphone７を購入して以降無線イヤホンをごりごり使っているからに他ならない。ポタアンとか重いし。
一回、大学構内でこのiPod classic + ポタアンを紛失したことがあり、学務に取りに行った経験があるが、事務のおじさんに「ポタアンかあ、そんなの使ってるんだね」と言われた。「そんなの使ってるんだね」。
「そんな（重そうな）の使ってるんだね」「そんな（前時代的なも）の使ってるんだね」「そんな（効果があるのかどうかもわからないオカルトグッズ）の使ってるんだね」「そんな（いまどき誰も使ってないようなもの使ってるんだね。まあ、僕は君みたいな貧乏人と違ってSONYのウォークマンの最新型）の使ってるんだ（けど）ね」
どんな真意で言ったのか私にはどうでもいいがとにかくそれ以降めっきり使わなくなってしまった。最新型のDAPが欲しい。
ハイレゾを聞きたい…！ipod classicで今時ALACとか使わずファイル管理したい…！iTunesみたいな厄介なものPCに入れたくない…ウォークマンがほしい…！
と、言うわけでラインアップを色々見てみた。「CCさくらクリアカード編」のOP、坂本真綾さんの「CLEAR」やまめぐ、May'nさんの新譜もある。
でも、私が一番気になったのはこれ
トップ２！は大好きなのだ。女の子が戦うアニメって良いよね。サクラ大戦とか少女革命ウテナとか。
大好きなのだけれど、これに関してはちょっと違う意味で興味を持った。というのも、私は以前このCDをレンタルしてすでにリッピングしてある。リッピングして聞いてみたのだけれど、一聴して「録音の質が悪くて聴いていられない」というのが感想だった。
録音の質が気になったアルバムなんてキャワイイ声優の女の子が歌うアニソンバリバリのやつ除けばこれかThe pillowsの昔のアルバムくらいだ。Lantisは悔い改めて。
ところで、以下全文はあくまで私の意見であるので「ふぅん、そうなんだ」くらいに聴いておいてほしい。
この「録音の質が悪く感じてしまった」、もっといえば仮定として「CDの音質が悪く感じてしまった」原因がなんなのかという話である。
このCDで謎なのが、収録曲であるトップ２！OP、EDの「Groovin` Magic」と「星屑涙」はそんな悪いように感じないということだ。打ち込み入っている時点で私にはよくわからないが、マスタリングを別でやっているのか？というほどに音量が違うので、まずはその点が違和感として挙げられる。
私はトップ２！のOPもEDもアニメOPEDの中では５本の指に入るほど大好きな曲で、正直この２曲が入っているだけでハイレゾアルバムを買う価値ありとさえ思っていた。
それを有り余るほどの足を引っ張る他の楽曲群。というか他の曲も曲自体には何ら悪いところなんて無い。悪いところなんて無いというよりは”あの”田中公平さんが手掛けた楽曲なので文句なんて付けようがない。アニメのサントラとしては最上級だ。
ただ、音が須らく「平面的な」「張り付いたような」音に聞こえる。ピアノもリバーブがかかっているだけで臨場感がない。打ち込みの質もそんなに良くないように感じられるしオケの音も生感がない。何より、キックが全然ない。わざとなら知らないけどこれがないせいで随分臨場感が損なわれている気がする。
劇中ではよく考えてみれば、このローファイな音を無意識下で避けていたせいでキャラクターのセリフやSEがよく耳に入った…のかもしれない。
これが、ハイレゾ版でどう変わっているか。
望みはある。というのもハイレゾにするという時点で殆どの場合元音源をもう一度リマスタリングするからだ。リマスタリングに際して、録音状態の良い音源が残っていれば、あるいは音源の音量バランスをちゃんと取ってくれれば。
よくあるのが、音圧を無理に上げない事によって音量は小さく聞こえてしまうが録音状態はとても良い、という音源。
日本と海外のCDを聴き比べれば一発でわかるが向こうの音源は音圧が低い。これによっていろんな楽器がバランス良くなっているのがわかるし、データ的に見ても損失が少ない。日本のCDは音圧が高いので派手派手な感じに聞こえるが波形の損失が大きく、俗に言う「音が潰れて聞こえる」ことが多い。
ハイレゾ化によって音圧は低いままサントラの音量を上げてくれれば。もしくは「Groovin` Magic」「星屑涙」の音圧が抑えられる可能性も。
しかもこのハイレゾアルバム、スペックは96.0kHz/24bitと非常に高い。音源をスペックで見ることはないにしろ、元音源がこのようなハイレベルな録音環境のもとで取られたと仮定すれば元音源は良いものなのではなかろうか。
それであれば、ハイレゾアルバムで音質が改善しているのでは（というかしてもらわなければ困る）という期待。ここで、ポチるか否か。
私は、買わなかった。
トップをねらえ2！ ORIGINAL SOUNDTRACK - 音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora
上記ページを見てもらえばわかるが、こいつは【K2HD】だった。要はCD音源をもう一度洗いざらいするのではなく、ただアップサンプリングしただけ。つまり俗に言うニセレゾだ。まじで騙された。
moraを使うことなんてなかったから気づくのが遅れたけど、隅っこの方にちっちゃい字でK2HDと書かれていた。e-onkyoなら大きな字で書いてあるのに！！moraはずるい子ね、まったくもう。
ニセレゾであれば、もともと44.1KHz/16bitで録音されたものを96.0kHz/24bitにアップコンバートするなんて簡単なことだ。やろうと思えばもっと上まで行ける。
ハイレゾである条件は、「録音時からハイレゾ環境であること」つまりこの場合録音時から96.0kHz/24bitで録音してある必要がある。
というかトップ２！が何年前のアニメかって考えればそもそもニセレゾだって気づけたのか…
という、一人の男がハイレゾに振り回されたお話でした。では、仮にこれがK2HDではなく純粋なハイレゾであったら買ったかどうか何ですけど、多分買っています。
録音の質が悪いCDにとって、”ハイレゾ化”というのは本来ないはずの再度与えられたリマスタリングチャンスなのです。リマスタリングされずに消えていく音源のほうが多い中ハイレゾ化なんて貴重です。で、あれば。本当に好きなCDがハイレゾ化されたら私なら買ってしまうでしょう。Pillowsのアルバムも去年発売されたアナログレコードだと音がいいですし。
では。
